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新型コロナと東京オリンピック

 連日うだるような猛暑日でいずこでは最高気温40℃などというとてつもない場所も出ているようで熱中症など心配だ。(とか書いてたらこれからしばらく雨だそうで逆に大雨災害の方に注意が必要だそうです)
 蝉たちは「よっしゃ、みんな盛り上がっていくぜ!」ってな感じで院内の木に止まって最高潮の合唱を奏でる(奏でるというより「がなってる」)。地面をみると蟻たちが黙々と自分たちの仕事をこなし、クモたちはあっちこっちと巣を張って罠作りに余念が無い。
みんな元気だ。
 下の子は虫が苦手なので室内で虫を見つけようものなら、ぎゃ~と叫びながら飛んできて
「虫やっつけて~!」。
小さい虫なら良いじゃないって言ってももうダメ。やれやれ
 
 新型コロナ感染はこの暑さとは関係なく第5波に入ってきているようで1都3県だけでなく全国的に増加している。緊急事態宣言、蔓延防止でも人流を抑えることは難しく、コロナワクチンも進んではいるがまだ効果を実感できるまでには至っていない。山口県もジワジワ増加しており、このまま行くと近日中にまた分娩立ち会いを中止するかもしれません・・・
 
 この混沌とした状況の中で東京オリンピック2020は開催された。
 開催についてはさまざまな意見があると思うが、新型コロナウイルス感染の蔓延自体が初めてのことであり、今の時点では何が正しくて何が間違っているのかなんて誰にも分からない。その中で大会を運営し、現場でがんばられたスタッフのご苦労には頭が下がる。
 個人的には学生時代に柔道をしていたこともあり柔道はほぼ全て見た。今回日本に多くのメダルをもたらしてくれたことは素直に嬉しい。少なくともコロナで荒んだ日本人の心に違う角度から大きな力を与えてくれたのではあるまいか。
 特に心に残ったのは柔道男子73kg級で金メダルを取った大野将平選手の試合後のインタビュー。「賛否両論ありますが、我々アスリートの姿を見て何か心が動く瞬間があれば本当に光栄に思います。」――― はい、アスリートの一挙手一投足には大きく魂を揺さぶられました。
 武道の精神である「礼にはじまり礼に終わる」は、お互いを尊重し敬意を表す所作である。競技中は激しくぶつかり合っても試合が終わればお互い抱擁、握手を交わし笑顔になる。これまでも競技ではよくみられる光景だったが今回のオリンピック中はそのような場面に遭遇する度に何かいつもとは違う感動と安心を覚えた。
 新型コロナと経済再生といった難しい舵取りにおいても激しく議論することは必要だが、根っこでお互いの心は一つにまとまっていくことがこの問題に打ち勝つ大きな鍵かもしれない。
 もうひとつオリンピック全体を通しての感想は、オリンピック前まで世界は大国の対立、紛争に加え新型コロナで完全に各国が分断、孤立してきているんじゃないかと言った不安をあおられるものが多かったが、今回なんとか各国の人達が一堂に会し、お互い直に接して笑ったり泣いたりする姿を見て、
「他国の人たちもみんな孤独で寂しかったんだ、おんなじ気持ちだったんだ」ってことを肌で感じられてなんだかホッとした。
 妊婦さんもなかなか友達や妊婦仲間と会う機会が極端に減って孤立しがちなので出来るだけそうならないようサポートしてあげたい。
 
とかなんとか考えながら自分の治療は治療で粛々とやっている。僕の場合はこの病気という困難に主治医だけでなく病院スタッフ、加藤先生や家族みんなに助けられながらその上、仕事までさせてもらって途方も無い果報者だと思う。さらに仕事していると患者さんからも応援してもらってどっちが患者か分からない。
「先生もお身体に気をつけて」
「先生、次もお願いしますね」
「二人目三人目もここでお産するつもりなんだからがんばって下さいね!」
 
―――はい、これからもがんばりますよ。

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