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コロナ第一波の後に

 コロナ感染による緊急事態宣言も5月に解除され、県外移動自粛も6月に解除された。
手探りしながら進む感じだが、ようやく日常生活が戻ってきたのは喜ばしい。しかし当面はコロナと共存する生活を強いられることになりそうだ。コロナ対策を日常生活に取り入れつつも、巷に溢れる膨大な情報に踊らさせることなく、自身や家族の健康を守るのは大変なことだ。
 
 iPS細胞研究所所長の山中伸弥教授は、5万件を超すコロナ関連論文から、有益な情報を導き出す研究を行っている。人間でなく、AIを用いてビッグデータを解析するらしい。膨大な情報(ビッグデータ)から眉唾な情報(フェイク情報)と有益な情報を取捨選択するのは大変な労力であり、人間が行うと先入観などが介入してしまうからだ。これこそ最も有用なAIの活用法なのだ。人間では見つけられなかった関連性や新事実を発見することもあるだろう。それらを基にした新たなコロナ治療・予防戦略が見つかることに期待したい。
 
 近い話題としては、当院で行う不妊治療領域においてもビッグデータを解析することで新事実などが発見されている。過去(1960年代)より漫然と信じられて来た平均的女性の生理周期25〜28日間が、実は現代ではもう少し長くなっているらしいのだ。また年齢層毎に月経周期が異なることも明らかになっている。これらは月経管理などを行うスマホアプリ(ルナルナ)のビッグデータを活用することによって初めて判明した事実だ。これらスマホアプリやデータを利用した研究や治療は既に始まっており、当院においても活用している。今後オンライン診療のアプリなどが普及し始めると、さらにビッグデータを用いた研究が加速して行くのだろう。
 
 コロナ禍により計らずも、情報社会におけるビッグデータ活用法や、膨大な情報との個人の向き合い方が問われる時代に入ってきたと感じる。

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